老若男女を問わず、幅広いユーザーに支持されている某衣料品卸売・小売業のA社は、データドリブン経営の推進力とすべく、Spotfire®(スポットファイア)による売上データ管理をスタートさせました。ここではSpotfire導入の経緯と現在の活用ぶり、今後の展望について、営業本部 営業企画部 アシスタントシニアマネージャーのS氏、アシスタントマネージャー アナリストのF氏にうかがいました。
某衣料品卸売・小売業A社 様
ジャパンシステムのサポートで
埋もれていたSpotfire®によるデータ活用が躍進!
導入ソリューション
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多岐に渡るシステムや属人的なレポーティングから脱却し、共通言語化を目指す
―データ活用に本格的に取り組まれることになった背景について教えていただけますか。
S氏:まず、全社的に「データドリブン経営」が命題として掲げられた中で、我々も取り組みを強化していこうと立ち上がったことですね。一方でその当時、データはあるけれども機能的に活用できていないという状況がありました。
というのも、事業部ごとに異なる基幹システムを使っているので、お互いの連携が取れておらず、同じ条件のデータとしてすぐに揃えることができなかったのです。
F氏:卸売・販売ですので最も利用頻度が高いのはやはり売上データです。当時は各人が基幹システム内の売上データを各々取得して表計算ソフトで加工し、目的に合わせた数字を出していました。人によってデータ取得のしかたも違えば、加工の方針も違うので、それによって同じ条件で数字が違うといったこともありました。
―事業部ごとに基幹システムが違うということは、例えば「卸売と直販を合わせた全体の売れ筋」などはどうやって算出していたのでしょうか?
S氏:「卸売の売れ筋」や「直販の売れ筋」はすぐ見ることができるのですが、両者を同条件で合算するには、毎回互いの事業部で数字を出し合ってレポートを作成しなければなりません。つまり「今、全体で売れている商品は?」という状況をリアルタイムで見ることは難しい状況でした。こういったデータを共通化して、共通言語として使えるようにするというところが、取り組みを進めていく中での最初の課題でした。
―貴社のグループ本社で、先にSpotfireが導入されていたことが採用のきっかけになったそうですね。
S氏:実はグループ本社でも同じような課題を抱えていたようです。グループ全社の売上レポートを見ようにも、指示を出さないと集まってこない。集まるタイミングもまちまちで、レポートが揃った頃には情報が古くなっている……といったことから、一気通貫で売上を見られるプラットフォームを導入したいという意向があったのではないかと思います。ただ、当社へのSpotfire導入当初はどう活用していけばいいのかがよくわからず、なかなか社内に浸透しませんでした……。
F氏:本社のスタッフがSpotfireのレクチャーをしに来てくれたのですが、表計算ソフトを使い慣れた人間からすると「できることは多そうだけれども、使いこなせるだろうか?」という印象でした(苦笑)。
S氏:一部の部門からSpotfireの使い方や効果を確認後、段階的に広げていく必要があったため、代理店のジャパンシステム様にトレーニングなどのサポートに入っていただき、Spotfireの本当の実力を知っていくことになったのです。
F氏:中でも、データの結合や複雑な前処理ができるデータキャンバスやデータリレーションシップスの機能が使えるようになったのは一番大きかったですね。当初はデータをどうやって突合すればきれいにつながるかもわかっていないメンバーが多かったので、そこを実践的な形で教えていただくことで、こうした機能をどう活用すればいいかが見えてきました。また、前処理のプロセスが見えているので、各々が表計算ソフトでデータを加工していたときのように、いわゆる先祖返りや、「最新データはどれ?」といった状況もなくなりました。
自社での具体的な活用法がわかったことで、Spotfire活用の幅も大きく広がる
―ジャパンシステムからはどのようなサポートを受けているのですか。
S氏:3名のスタッフ様に、週3日、3名のうちどなたかは必ずいらっしゃるという形で常駐していただいています。業務としてはテーマを決めて行う当社スタッフのトレーニングと、日々の業務の中で発生した疑問に対応していただくヘルプデスク的な業務、レポート作成のサポートなどをお願いしています。
F氏:トレーニングについては来ていただいている3名のスタッフ様と私で、年単位の計画を立てています。その計画をもとに実際のトレーニングで使う資料を作っていただいて、フィードバックして。
S氏:最初の年はこうした資料などのコンテンツ制作に時間がかかったので、トレーニング自体の本数はそれほど増やせなかったのですが、同じテーマのトレーニングを繰り返し実施していく体制ができて、今はどんどん実施していますね。例えば、Over関数のトレーニングは「何度もやって覚えたほうがいい」ということで、かなり繰り返して実施しています。
F氏:単に繰り返すだけではなく、内容もブラッシュアップしながらやっています。例えば昨年は講義だけで終わっていたものが、今年は講義の後に手を動かして理解度をチェックする時間ができていたりします。
―ヘルプデスクや、レポート作成のサポートについてはいかがですか。
S氏:当初はヘルプデスクなどもすぐ回答していただけるような初級の質問が多かったのですが、現在は我々もいろいろ欲が出てきて(笑)、持ち帰って確認していただいたり、NTTコム オンライン様や本国のTIBCOに連携していただいたりといったケースも出てきています。
F氏:アナリストがレポート作成をする際のサポートは、現在メインでお願いしている業務と言っていいかと思います。ジャパンシステムさんと私で、レポートを作りたいアナリストから、例えば「このデータとこのデータをつなげて、1年間の市場シェアを俯瞰できるレポートを作りたい」、「今まで表計算ソフトでこんな風に作ってきたレポートを、Spotfireで作り直したい」といった内容を聞いて、そこから材料を揃えて、目的に沿った形でレポートを作り上げていくところまで伴走していただいています。「データをどういった形でつないでいくのか」から、最終のダッシュボード作成、ビジュアライゼーションまでお付き合いいただいていますね。
「Spotfireがなければ業務ができません」と言われるほど社内に浸透させることができた
―Spotfireを本格的に活用し始めたことによる効果は見えてきていますか。
S氏:従来は「これが売れそうだ」、「あのデータを見たい」と思っても『レポート作成を依頼して完成を待つ』タイムラグがありましたが、Spotfireが導入されてからは『思い立ったときに、完成しているレポートをワンクリックで出力してもらう』だけになりました。
F氏:出力する側も、基本的には「結果を見て分析する」のと、「要点箇所のスナップショットを撮る」、そしてそれをメールで配信すればいいわけですから、『レポートを作成する』という工程自体がなくなった感覚ですね。それに表計算ソフトの場合は、売上推移から前月比や累積といった別のグラフを作りたい場合にいちいち組み直していましたが、Spotfire特有の関数(Over関数)を使えばこれもすぐに処理できます。もちろん、負担はかなり軽減されました。
S氏:『レポート作成』をしていたときは、週明けは一日の大半の時間を各自が担当する販売チャネルのデータ集計や、既存のテンプレートへの転記、メール配信に取られていました。例えばそれが主要10チャネルで毎週、年間52週続くと考えると、その差は大きいですよね。
F氏:社内の評判も一時とは比べ物になりません。「Spotfireがないと業務ができません」というスタッフもいるぐらい、浸透してきていますね。
―今後、Spotfireをどのように活用していきたいとお考えですか。
S氏:そうですね、私の預かる領域を超える部分もありますが……次なるフェーズとして本当に取り組みたいのは、営業やマーケティングを超えた、未展開の領域へSpotfireでのデータ活用を広げていくことですね。
それからもう1つ、大規模言語モデルを活用したアドオンSpotfire Copilot®を使ったより先進的なデータ活用分析にも取り組みたいです。AI活用にはセキュリティ対策などさまざまな制約や課題、リスクを乗り越える必要がありますが、Spotfireはグループ本社も活用していますから、そのシナジーがあればCopilotのファンクションを活かした展開をしやすいのではないかと。
アナリストの皆にももっとレベルアップしてもらい、いずれこちら側から営業的な選択肢を示唆したり、打ち手の案を出したりできるといいですね。後方支援だけでなく、前線にも立てるようなデータ活用を推進していければ。
―楽しみですね。特にSpotfire Copilot活用については、サポートのメンバーが引き続きお力になれるのではないかと存じます。本日はありがとうございました。
―ジャパンシステムの担当者から見たプロジェクト紹介―
各業務での活用シーンを具体的にイメージし、組織の変化や習熟度に応じて研修を設計することが重要
現在は3名体制で、研修・ヘルプデスク・1対1のレポート作成の支援をさせていただいており、皆様の成長を肌で感じられることにやり甲斐を感じています。
初年度の研修は、Spotfireの基本操作がメインでしたが、その後は特定のビジュアライゼーションや関数の使い方など、受講者の理解に合わせ段階的に難易度を上げていきました。Spotfireに関わらず、ツール活用が組織に定着し、利用され続けるためには、その時の組織状況や参加される方の業務を捉え、トレーニングを設計・調整することが重要であると考えています。
研修前に、参加者の職務を確認したり、研修後のアンケートに記載いただいた要望・感想も重要なインプットとして捉えており、A社様と相談しながら、研修に反映しています。
研修に限らず、私たちの支援は、A社様のご協力があってこそ成り立っていると考えています。前述の通り、成果を出すためには、お客様の特有の商習慣や業務特性を理解する必要があります。A社様では、ご担当のS様、F様のお人柄もあり、小売業界特有の専門用語や各部署の役割などを快く教えていただいているため、我々もお客様がSpotfireを活用するシーンを思い浮かべながら、ご支援ができていると感じています。
また、ご担当者の方と、密にコミュニケーションを取らせていただいており、日常のこまめなコミュニケーションや、週次ミーティングにより、状況に応じて円滑なPDCAサイクルを回す体制ができていることも、お客様の成長に寄与していると考えています。
今後も現在ご支援している領域で、成果を出すことに力を注ぐとともに、他の部署・職種の方にもトレーニングをご提供できるよう、A社様への理解・Spotfireの知見を高めていきたいと考えています。
※本導入事例は2024年11月現在の情報を元に作成しています。