群馬県の県庁所在地である前橋市。その市役所で、大規模カスタマイズがネックになっていた旧システムの課題を解決しDX推進を大きく後押ししているのが、ジャパンシステムが提供している「FAST財務会計」と文書管理システムです。導入の経緯と今後の展望について、前橋市 情報政策課 主任の森尻氏にうかがいました。
前橋市 様(群馬県)
FAST財務会計を核とした新システムで 内部事務をフルデジタル化
導入ソリューション
取材ご協力者様 |
右から
前橋市 市民課(元 情報政策課)大塚 範之氏 情報政策課 主任 森尻 翔太氏 情報政策課 小林 悟氏 |
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更改を機に長年使い続けた財務会計システムの課題と向き合うことに
―まず、情報政策課の業務内容についてお聞かせいただけますか。
職員約2,600人のうち、情報政策課には約30名がおり、私が主に担当しているDX推進、情報セキュリティに加え、ネットワークや機器の管理、システム調達、個人情報管理、基幹統計調査などを受け持っています。
―財務会計・文書管理システムの検討にあたり、抱えていた課題を教えてください。
事の発端は、約20年間利用してきた財務会計システムの保守終了でした。稼働開始当時の財務事務手順にあわせて大規模なカスタマイズが施されたシステムで、本市独自の事務にも対応できる反面、ひとたび制度改正に対応するとなると、影響範囲の確認や改修適用、動作確認などに多くのリソースが必要でした。また、文書管理システムが導入されておらず、電子決裁に対応できていないことも課題となっていました。
パッケージ版が充実していれば最小限のカスタマイズでカバーできる
―新たなシステムに求める条件はどのようなものですか。
まず、内部事務のフルデジタル化を進め業務効率化を図りたい思いがありました。加えて、前橋市の方針として可能な限りノンカスタマイズでシステムを構築し、改修の負担を避けたい、という条件もありました。
―FAST財務会計・文書管理システムを選定された決め手は何でしたか。
まずは「費用とサービスのバランスがよかった」ことですね。これは単に「安かった」という訳ではありません。パッケージ版の機能が充実していて、標準機能でフォローできる業務やカスタマイズがどの程度必要かといった詳細を、提案の段階で時間をかけて詰めておけた。ベンダーが変わることは案じていましたが、旧システムから引き継ぎたい業務のカバー率も高かったので、思い切って調達できました。
―なるほど。そこで例えば「すぐ駆けつけてくれる地元のベンダーに」とはならなかったのでしょうか。
それはもう一つの決め手となった「クラウド利用」が解決してくれました。直接駆けつけていただかなくても、リモートで保守していただけるので、地理的な距離は気にならない印象です。
近くの先例を参考にするだけでなく、広く評価されているものを
―文書管理システムは令和5年(2023年)度から運用開始、FAST財務会計は令和6年(2024年)度から正式に運用開始予定とのことですが、導入準備にあたって印象的だったことはありますか。
自治体では全国でも先例があまりない「パブリッククラウドの利用」でしょうか。自治体ネットワークの多くは三層分離(ネットワークをインターネット系、LGWAN系、マイナンバー利用事務系に3分割)ですが、前橋市はそこに独自で「第4のネットワーク」としてパブリッククラウドを加え、FAST財務会計と文書管理システムを構築しているのです。
―先例を頼ることなく、新しいものを取り入れようというのは思い切った取り組みですね。
そこは、ジャパンシステム様と協力して進められる安心感が支えになりました。クラウドサービスでの環境構築はもちろん我々も初めてのことですから、ゼロから勉強する中で、かなり支援していただきましたね。
情報政策課課長は、先例に倣うだけでなくもっと広い視点で「評価されている」ものを取り入れようという志向でして。「民間企業が高く評価しているシステムであれば、我々行政も使おう」ということです。
―すでに運用開始している文書管理システムへの反応はいかがですか。
今、文書管理システムと同時にパブリッククラウドの利用も始まり、さらに無線通信端末も導入され、連絡手段もメールからチャットへ、間もなくFAST財務会計も走り出す……という状況でして。職員にとっては従来とまったく違う環境が一斉に押し寄せてきたようなもので、正直まだ慌ただしい印象ではあります。
FAST財務会計の運用が始まり文書管理システムと連携することで、やっと求めていたシステム全体が揃いますので、今はまだ道半ばですね。
こうした状況ではありますが、文書管理システムについては「決裁に関係する職員が増え階層が深くなっていくほど、決裁にかかる時間が短縮されたのを実感する」という意見をもらっています。
市役所本位のDXを成功させ、住民本位のDXへつなげたい
―連携開始後は、どのようなことに取り組みたいですか。
まだ「紙の書類ありき」から抜け出しきれていないので、情報政策課としてはフルデジタル化を目指して、「データを取り扱う価値」に関する議論を重ねていくつもりです。
その流れの一つとして、電子請求書の受領により情報の入口からデータ化し、その情報を財務会計システムにも連携することで、予算執行業務を効率化するという目標があります。実現へ向けて、引き続きジャパンシステム様にも協力いただくことになるかと思います。
まずはこうした市役所の業務効率化、「市役所本位のDX」を進めていますが、運用開始後は業務効率化によってリソースが生まれるはずですから、それを「住民本位のDX」に振り向けたいですね。例えば今、申請手続きそのものはすでにオンライン化できていますが、いずれ「自分で調べて手続きをしなくても、必要な支援が受けられる」ところまで持っていければと。
※本導入事例は2023年8月現在の情報を元に作成しています
群馬県 前橋市様の概要紹介
所在地 | 群馬県前橋市大手町二丁目12番1号 |
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人口 | 約33万人 |
概要 |
前橋市は群馬県の中南部、日本のほぼ中央に位置し、高崎市、伊勢崎市など8市町村と隣接する群馬県の県庁所在地です。 |
URL | https://www.city.maebashi.gunma.jp/ |